「子どもと電子楽器」というと、音楽教室で弾く電子鍵盤や、ピアノの代用として購入する電子ピアノや電子キーボードがまず頭に浮かぶと思いますが、電子楽器、電子機器はもっと大きな可能性をもっています。一方、子どもには自然な音のほうがいいという意見も根強くあります。本日は、大人の方には電子楽器、電子機器の音楽教育面での可能性を感じていただき、子どもたちには電子楽器、電子機器に楽しんでもらえればと思います。
電子パーカッションを使用して、世界各国の打楽器の音色を体験します。
電子楽器により、演奏の習得にかかる時間が短縮でき、すぐにアンサンブルの課題に集中できます。
Part of Your World
1人で弾くよりもドラムを付けると弾きやすい。盛り上がる部分は感情がより入りやすくなります。
EXILE ATSUSHI いつかきっと
1人で弾くとメロディのほうにばかり気持ちが向きがちですが、ドラムに合わせようとすることによって、1人で弾いた時とは違った演奏になります。
Under the Sea
リズムにリードしてもらうと、乗りやすい。難しい付点のリズムも大変弾きやすくなり 、楽しく演奏できます。
ドラムを付けることによって3人の演奏が変わっていくのがわかったと思います。 音楽の3要素のうちの一つ、リズムという面から課題を探して、話し合って集中的に練習することによって、アンサンブルの組み立てが断然良くなっていきます。 最近、ドラムを電子ドラムで始める人がとても増えています。なかなか初めの一歩が踏み出せない時に、電子ドラムが背中を押してくれます。 なぜなら、叩ければ良い音が出る、楽曲に対するイメージやビジョンから明確であれば、上達のスピードを加速させてくれる。 そして、音の選択のセンス、幅広い音楽ジャンルに対する興味さえがあれば、ドラムを切り口にして音楽を楽しむことができるからです。 特に子どもたちには自由な発想力を伸ばせる可能性が秘めていると思います。 ポピュラー音楽のルールを把握して、リズムのポイントさえ覚えれば、自由に楽しめるはずです。
ドラマーが叩き出すビート、サンプラーパッドから発せられる音によって身体あそびをします。
Garage Bandというアプリのコードの伴奏機能、録音/編集機能を使って簡単に音楽を楽しめます。
日本におけるシンセサイザー演奏の第一人者、篠田元一さんによるパフォーマンス。
絵本の読み聞かせの際に、電子キーボードでBGM演奏や効果音を付ける活動を紹介します。
ちょっと一工夫して既存の楽曲を入れたり、長調・短調を使い分けたり、学生が作曲した曲を使用したりしています。
絵本の読み聞かせでは、実際には音や音楽を使用せず、その紙面から音や音楽を想像するべきであるという意見がありますが、堅苦しく考えすぎです。こうした活動で習得した知識や技術は、オペレッタを作る際の選曲や日常の保育に生かすことができるので積極的に取り入れていただきたいと思います。
最先端の技術が詰め込まれたシンセサイザーJUPITER80。
様々な音色・機能を実際に開発に携わった篠田さんが紹介します。
アコースティック楽器の微妙なニュアンスでの表現力、多彩な伴奏機能など、実演を交えて巧みな演奏を披露して下さいました。
Sound Box
様々な音の中から好きな音色を選択し、遊ぶアプリ。乳幼児がタブレットに慣れるために最適なアプリで、画面を叩いたり、なぞったりする事によって音が鳴ります。
おんぷちゃん
様々な音感アプリがある中で、子どものレッスンに向いています。
バンド演奏や合奏をイメージした年長〜小学校低学年向けアプリ。画面下部に表示される演奏者をステージに上げると、演奏が始まります。
ステージ上の演奏者を増やしていくことにより、にぎやかで楽しいアンサンブルになります。かわいいキャラクターも魅力です。
このように、次々に音楽アプリが登場し、音楽教育で活用できるものも増えてきました。是非ご家族で楽しんでみてください。
音楽教育における電子楽器やタブレット端末の可能性を見て、聞いて、感じていただけたと思います。
ミュージシャンの中では電子楽器はなくてはならない存在ですが、音楽教育の世界ではあまり電子楽器は好まれていませんし、タブレット端末の活用についてはまだほとんど知られていないのが現状です。
しかし時代は大きく変わってきました。
2020年には子どもたちの教科書がデジタルになる動きがあります。アメリカの調査では、今の小学校1年生の子どもたちが成人して就く職業の65%は、現在存在しない職業だと言われています。
こうした状況を考慮するならば、子どもたちは常に新しいものに取り組んだり、チャレンジしたほうがいいでしょうし、教育の方法は常に革新されていくべきでしょう。電子楽器やタブレット端末はそうした動きにふさわしいと思いますので、是非、音楽教育の世界で活用していただきたいと思います。
最後に篠田元一さんのオリジナル楽曲を今回限りのレアなトリオで演奏しました。