レッスンで使用する楽譜はレッスンボランティアが事前に用意したものばかりではありません。子どもたちが自分の所有している楽譜を急に持って来ることもあり、ある程度初見で弾く力が必要です。楽譜に書かれた強弱記号や速度記号などの意味や弾き方を子どもに伝え、上手に弾けるように指導し、子どもにピアノを弾くことが楽しいと思ってもらえるように努力することも大切です。
子どもが弾きたい曲の楽譜を探すとき、何種類もの楽譜を揃え、その中からそれぞれの子どもの演奏能力に合った楽譜を探すことは困難であるため、一種類の楽譜を見て演奏能力に合うように伴奏の形を変えたり、転調したりして弾きやすいように編曲する必要があります。また、子どもが弾く主旋律に合わせて即興で伴奏をつけることができるとよいでしょう。
レッスンは対象の子どもと1対1で行います。子どもと信頼関係を築き、毎回レッスンを楽しみにできるために、レッスン以外でもコミュニケーションをとることは必要です。教える側が子どもたちとのコミュニケーションを心から楽しめると、それが子どもにも伝わり、良い関係を築けるようになります。また、教える側も子どもとの関わりがうまくいくと、弾きたい曲の楽譜を探すことやレッスンを行うこと自体がさらに楽しくなり、より良いレッスンが行えるようになります。
特別な理由や施設の行事と重ならない限り、毎回決められた曜日・決められた時間にレッスンを行います。最初にレッスンの期間を決め、その期間中は途中で投げ出すことなく責任をもってレッスンを行うことも大切です。
児童養護施設で生活している子どもは、さまざまな家庭事情や生活環境による問題を抱えている場合が多くあります。年齢が小さい子どもほど何気なくそれらを口にすることがありますが、決して口外したり子どもを傷つけるような発言をしたりしてはいけません。職員から子どもの事情を聞いた場合も同様です。