声をよく響かせるために

「声が小さいとよく言われます」

「声が小さい」という場合、次の2つのケースが考えられます。

  • ケース 1: 「もともと話す声から小さい」
     もともと話す声も小さい人は、しっかりした呼吸を心がけて、まず充実した表声で歌うことから初めてみることをお勧めします。継続して歌うことで、声は必ず出るようになってきます。
  • ケース 2: 「歌う時に裏声を使うと、どうしてもしっかりした声にならない」
     裏声で歌うとどうしても表声に比べてガクッと声量が下がるという人は、裏声のトレーニングをしてみましょう。裏声を出す時の筋肉を鍛えてあげれば、芯のある裏声が出るようになるはずです。

まず、ある程度高い音域(高いド~ファ)で「u」または「i」で、しっかりした裏声を出す練習をしましょう。

この時、お腹を使って良い呼吸ができているかを確かめながらすすめましょう。それができたら、「u」または「i」の裏声のまま、表声にならないように下がっていく練習をします。

ここで、できるだけ高い音域で出した時の響きのまま降りて来るように意識しましょう。この練習を続けることは、芯のある裏声をつくるためにとても効果的です。もちろんすぐに筋肉が鍛えられるわけではありませんから、日頃からの練習の積み重ねが大切です。

最後に、響きのある高い声を出すためのコツとしては、上の奥歯と下の奥歯の間をしっかり開けることです。目もしっかり見開くと効果倍増です。さらに次の2つのエクササイズを試してみてください。

  • 高い声を出す直前に、ひざをカクンと落としてみましょう。無駄な身体の力が抜け、声がスムーズに出て行くようにする効果があります。  
  • 高い声を出す時に、少し膝を曲げながら身体を後ろに反らしましょう。膝を曲げながら後ろに反らすことで、呼吸のトレーニング法で解説した、鳩尾(みぞおち)から 5 cm 位下、おへそから 10 cm 位上にある、笑ったり、咳払いするとピクピクするところに力が入ると思います。これによって、しっかりした息で声が支えられるのです。

どちらも人前で歌う時に、いつもそうするわけにいきませんから、練習の時にコツをつかむためにやってみてください。