Fusion of Performance and DTM(Desk Top Music)
by Piano Learners

2024年3月3日(日) 19時~ オンライン
主催 深見友紀子ミュージック・ラボ
公益財団法人かけはし芸術文化振興財団 2023年度公演助成

佐藤みのり(小2)

曲名:茶色の小瓶

関口涼太(小3)

曲名:勇気100%

山崎遥夏(小3)

曲名:ビーチバギブギ

岡部稔(小3)

曲名:かわいいアウグスティン

指導 前田遼二
企画 深見友紀子


■ 成果発表会の様子

深見)日曜日の夜、お忙しい時間帯にzoomに集まっていただき、ありがとうございます。
ただいまから「ピアノ学習者によるピアノ演奏とデスクトップミュージックとの融合」の成果発表会を行います。
この活動は、2023年度かけはし芸術文化振興財団の助成を受けています。
今回は、ミュージックラボのピアノクラスの生徒さん4名に協力していただき、昨年10月15日にスコットホールで開いたピアノ発表会の時に演奏した曲で音楽制作に取り組みました。
今日はそれぞれの作品を発表し、デスクトップミュージックを体験した感想などをお話ししてくれます。
それでは、前田先生、どうぞよろしくお願いします。

前田)今回担当させていただきました前田です。
ピアノで弾いた曲を素材にDTMで何か作るというテーマで、体験していただきました。

たとえば、パソコンを使うといっても、今回のように音楽を作るとか、ワードやエクセルで資料を作るとか、ネットサーフィンするとか、ゲームを楽しむとか、いろいろ使い方があると思います。同様に、DTMも使う人によってかなり幅が広く、内容や使う機能も変わってきます。
今回は、発表会で弾いた曲や生徒さんの個性などを考慮し、それぞれ内容や方向性を考えて実施しました。
皆さんそれぞれ違った内容になったので、比較するととても面白いと思います。

僕自身は生徒さん4名と初対面というわけではないですが、レッスンで関わるのは初めてでした。
使った機材はパソコンの人もいれば、iPadで完結した人もいます。
ソフトは全員共通で、Apple製品にプレインストールされているGarageBandを使用しました。
生徒さんのコメント動画は、発表会で弾いたピアノ映像を重ねた動画となっています。


佐藤みのりさん(小2) 「茶色の小瓶」

DTM経験 なし レッスン形式 オンライン3回
使用機材 パソコン レッスンサポート

DTMコースに在籍しているお姉さんが横で待機し、何かあった時にヘルプするという形でやりました。初めてのDTM体験だったので、発表会で弾いたピアノ譜面を両手それぞれ一つずつトラックを立ち上げ、音を打ち込んで再生しました。

最初はピアノで打ち込み、次に音色を変えることによって同じ音符が違う風に聴こえることを体験し、鉄琴の音が好きということだったので、最終的に音は鉄琴を選びました。繰り返しのフレーズはコピペを使い、効率的に作ることができ、予想していた以上にスムーズに進みました。テンポも実際にピアノで弾いたテンポに合わせました。

パパ曰く、パソコンでゲームをやるので、操作やパソコン自体に慣れているとのことでした。

では、みのりちゃんからいただいているコメント動画を見ていただきましょう。
みのりちゃんは映像でコメントを撮ってくれました。
そのコメント動画に発表会で弾いたピアノ映像を重ねた動画となっています。


関口涼太くん(小3) 「勇気100%」

DTM経験 なし レッスン形式 オンライン3回
使用機材 iPad レッスンサポート

涼太君の場合は、お父さんがとてもサポートしてくださいました。最初は佐藤みのりさんと同じように、両手の音を打ち込んで、音色を変えました。家にベースがあるとのことで左手の音はベースの音にして、右手は少し派手なシンセ系の音色にしました。さらに、ギターやドラムの音を入れ、iPadの内蔵マイクで歌も録音しました。

「勇気100%」は歌の曲なので、歌が入ることにでより原曲の雰囲気やポップス感が出ました。GarageBandにはリズムパターンを自動で作ってくれる機能がありますが、涼太君はバスドラムやスネアドラムなどを一つ一つ打ち込んで作りました。結構ロックなドラムに仕上がっています。

作業を進めるにつれて、涼太君がPANにもこだわりを持って細かく作り込み、すごく楽しんでいました。いわゆるDTM的な‘一人で全部やる’作業を初めてながらも頑張りました。

●「PAN」機能
「PAN」機能で音を左右どこで鳴らすか調整できます。
楽器が増えれば増えるほど、音がごちゃごちゃしてくるのを綺麗に整理して聴かせるための機能です。
●Guitarの「Smart Guitar」モード
これはiPadの画面にコードが表示され、指で弾くとギターを弾いているような感じになり、そのまま録音されます。
●Audio Recorder
iPadのマイクを使って録音した歌のトラックはオーディオ波形として表示されています。

岡部稔さん(小3)「かわいいアウグスティン」

DTM経験 あり レッスン形式 対面1回、オンライン2回
使用機材 iPad レッスンサポート なし

稔さんは完全に一人でやってくれました。最初に対面で1回、その後オンラインで2回レッスンしました。
オーケストラのような雰囲気で作ってみたいという希望があったので、まずは弦カルテットのイメージで作ってみることに。作り始めると、予想していたよりもスムーズに進み、1回のレッスンで出来上がったので、次は管楽器で同じように4つのパートで打ち込んでみようということになり、それも1回で完成しました。その後、全部を合体させ、オーケストラのようにして、かつ、木管楽器と打楽器も追加し、大作になりました。

GarageBandの機能で「アルペジオ」という自動で演奏してくれる機能があります。
今回、それを32分音符に設定し、押すだけで高速で連打するように設定し、それを木琴が連打しているかのように疑似的に再現してみました。

今回の稔さんのDTMの活用は、いわゆるアレンジャー的な使い方です。
オーケストラで演奏するとなると、大人数呼んでかなり大掛かりな話になりますが、打ち込みを使うことによって一人で再現することができます。


山崎遥夏さん(小3)「ビーチバギブギ」

DTM経験 あり レッスン形式 対面2回、オンライン1回
使用機材 iPad レッスンサポート なし

遥夏さんも完全に一人で行いました。
遥夏さんが発表会で演奏した曲は、ブギという生演奏を楽しむ音楽ジャンルです。なので、打ち込みで再現する方向性ではなく、演奏を生かすことを考えました。
まずドラムパートを「Drummer」機能を使って作り、次にピアノを録音し、さらにベースを打ち込んで重ねて、アンサンブルを制作しました。
自分の演奏をメインに持ってきて、その他を打ち込みで作る、いわゆるプレイヤー的なDTMの使い方になります。

「Drummer」機能で全体のリズムパターンを組んだ後、キメの部分は別トラックで一から打ち込みました。
最後のエンディングパートをritして終わりたいとのことでしたが、iPadのGarageBandにはテンポチェンジ機能がないので、ピアノを自分でritして弾き、それに合わせてドラムトラックをリアルタイムMIDI録音したのもこだわった点です。

ピアノはミュージック・ラボのグランドピアノにマイクを立て、オーディオインターフェイスとiPadをつないで録音しました。
マイク録音する際は、音の被りを防ぐためにリズムなどのガイドをヘッドフォンから流して演奏することになりますが、初めての試みにもかかわらず、スムーズにこなしました。


僕が予想していた以上に全員スムーズに進み、良い出来栄えになりました。レッスンしていて僕も楽しかったですし、楽器を演奏する面白さとまた違う、ソフトを使った音楽制作の面白さを感じてもらえたと思います。
楽器の演奏とPCを使用した音楽制作はどちらもつながっているとも思いますし、これを機にGarageBandをもっと触ってみてもらえたらうれしいです。
ありがとうございました。

深見)ピアノを習っていると、ピアノを演奏するだけだとつまらないなぁと思う時があると思います。そういう時にGarageBandなどで音楽を作ってみると、相乗効果が生まれると思います。これからもまた機会があればやってください。