私は「絵本」に効果音やBGMといった「音」をつける研究をしました。完成版映像をさっそくご覧下さい。
映像を観て、色んな考えや思いを抱かれたと思います。一方で私が使っているものに注目した方もいたかと思います。私が今回の研究で使ったものは・・・
これら3つを使って作品を作っていきました。右2つの機械のようなものに対して「これはなに?」と思った方もたくさんいらっしゃると思います。
YouTubeに2つのデモがあるので、紹介しておきます。
サンプラー デモ演奏 |
ハンドソニック デモ演奏 |
どちらもかっこいいデモ映像ですよね。
このように一見難しそうに思う電子機材・楽器も、使用方法を工夫すると親しみをもてるものになります。今回は子どもたちや保育現場において近い存在に値する「絵本」と、なんら関係のなさそうな電子機材・楽器を組み合わせることで、保育現場と電子機材・楽器の両方に使い方次第で考えられる可能性が秘められているということを多くの人に知ってもらいたいと思い研究をしました。ハンドソニックは〈あいうえんがくたい〉でも実際に使用しており、子どもたちにも大人気の不思議な電子打楽器です。
1番最初にご覧になられた完成版映像ですが、「完成版」ということでその前の段階、「試作版」があります。最初はこうだったというのを一度ご覧下さい。
私が考えている絵本『もこもこもこ』のイメージに基づき、フリー素材の音源を用いて制作しました。
完成版とはまた違った印象を持った方もいるのではないでしょうか。工程1の段階で『絵本だけどテレビみたい。』を実演し、本学児童学科2回生の学生名の協力を得てアンケートを実施し、改善すべき点やよかった点について意見を集めました。以下はアンケート結果に多くあった改善点です。
上記アンケート結果に基づき、同じくフリー素材の音源を用いて制作しました。
音と音の繋ぎ目は「WavePad 音声編集ソフト」を使用し編集をしました。
工程1・2を土台として、最後に電子打楽器奏者・ICT音楽教育家である鈴來正樹先生(MASAKing先生)にアドバイスを頂き、完成版映像が出来上がりました。BGMは個人的にもっと絵本『もこもこもこ』の世界観を出したいと考えて大きく変更しました。そしてサンプラーのエフェクト機能で読み手(私)の声を効果音のように表現し、聞き手側により一層おもしろみと絵本『もこもこもこ』の不思議な世界観を伝えられるようにしました。また、「しーん」という場面ではあえて無音状態を作り上げ「何もない」ことを強調し、「無音」を音楽として表現しました。
この『絵本だけどテレビみたい。』の制作をするにあたって絵本『もこもこもこ』の不思議な世界観と自分自身が思い描くイメージ音に一致する音源探しがとても大変でした。「絵本」と「音楽」が融合することで、大人はおもしろいと考えても、子どもにとっては一体どのように感じられるものなのか。大きな音を使用することで、子どもが反射的に耳をふさぐ動作をするかもしれません。反対に子どもたちに「わくわくどきどき」をより一層提供できる方法になるかもしれません。他にもいろいろな可能性が考えられると思います。
私は制作をする過程で、「こっちのBGMも合うな」「これもいいな」とたくさんの音に出会い、今回使用した絵本『もこもこもこ』に対する思いや考えが変化し、制作当初と今現在での自分自身の視点の広がりを感じています。最初は「こうだ」と思っていたものも、「これもありかもれない」という柔軟な思考を持ち得て物事をみることの大切さや、行き詰って迷いに迷った時は他者の声を聞いてみることでまた新たな考えに導かれることをを感じました。
さてここで絵本を読むにあたって効果音があるとき・ないときの比較を以下にまとめました。
効果音やBGMは私たちの生活のなかのあらゆる場面に使われています。私たちはたくさんの音に囲まれながら生活をしているのです。自然の音、作られた音、機械の音。耳を澄ませばたくさん聞こえてくると思います。電車のなかや家にいるときに音楽を聴くことは一般的な光景となりました。私たちの多くは音楽に囲まれる生活を自ら作り上げているのです。音に溢れている世の中ではありますが、絵本の読み聞かせに効果音を付けるということは、ほんの少数です。保育の現場ではたくさんの行事があります。そのなかで「効果音」をつけた「絵本」の読み聞かせをすることも一般的なこととなれば、おもしろいだろうなと思うのと同時に子どもにとっての楽しい思い出、「わくわくどきどき」できる時間が増えるのではないかと思います。音楽をつけることで、同じ絵本でも全く違う印象を与えることだってできます。
「絵本」に「効果音」をつけることで得られる何かがあると信じ、また改めて考えていきたいです。