月刊ミュージックトレード(ミュージックトレード社)に連載した
コラムのバックナンバー

2003年3月
音楽教育ドットコム リニューアルオープン
深見友紀子(Yukiko FUKAMI)

 いよいよ入試の季節。一昨年、入試の採点ミスが発覚して世間を騒がせた富山大学では、入試というだけで暗くなるのに、今年はカウントダウンとなった大学統合再編問題が加わり、さらに重苦しい気配が学内に充満している。おまけに今年は例年より雪も多く、気持ちはどんどん落ち込むばかりである。

 さて、なんとか気を取り直して、今月は、昨年二月号で取り上げた音楽科担当教員のためのポータルサイト、音楽教育ドットコム(www.ongakukyouiku.com)について、報告やお願いをしようと思う。

 〈掲示板〉〈サイトナビ〉〈リンク〉〈コラム〉の各メニューで構成され、二〇〇二年一月に開設したこのサイトは、この一年、サーバの移転など紆余曲折があったが、現在、アコール音楽教育研究所の小林田鶴子さんと、私立栄高等学校「情報」教諭(二〇〇三年四月から)の綿貫俊之さんの協力によって運営されている。開設した時点で最も自信があったのが、音楽(教育)関連のお勧めサイトを紹介している「リンク」だが、教育情報ナショナルセンターの音楽関連リンクや「エンカルタ総合大百科2001」などを使って約五十のサイトを抽出し、それぞれに簡単な解説をつけてから、気がつくとあっという間に一年が経過してしまった。

 一年も放置したままにしておくと、サイトの閉鎖、URLの変更などがあるのではないかとにわかに心配になり、調べてみたところ、案の定該当サイトが数カ所みつかった。大慌てでトップページの画像をスキャンし直したり、各サイトの内容説明の見直し、閉鎖したサイトの削除やURLを変更したサイトの修正などを行った。お勧めサイトの中にすでになくなったサイトがあったことは少しショックだったが、定期的にチェックしなかった怠慢な自分が無性に恥ずかしくなった。“変容することこそが常”なのだ!

 閉鎖したサイトがあるのなら、新しく誕生したものや、以前見落としたものもあるかもしれない。そこで、後期開講の私の授業「音響メディア概論」を履修している学生たち三十人ほどに、音楽の授業実践に役に立つと思うそれぞれの一押しをレポートしてもらうことにした。音楽科教員に有益であるという条件がつくと、ただ単に好きなアーティストのページなどではだめなので、かなり熱心に探してくれたようだ。NHKサイトの中の音楽コーナー、作曲ソフトについて詳しく解説しているサイト、能楽協会のページなど、多種多様なサイトがリストアップされた。

 県下の高等学校で「情報」の非常勤講師をしている科目等履修生(教員免許取得のためにある特定の講義のみを受講している学生)は、音楽CD-RやオリジナルCDの作り方を丁寧に解説しているサイトを教えてくれた。(http://www.musiccdr.com)これまでに二百万以上のアクセスがあったというビッグなサイトだ。「校歌を音楽CDにして、文化祭で配布したいのだが・・」とある先生からアドバイスを求められ、CDの制作方法をこのサイトで勉強したのだという。多くの若者の生の声を聞くことがきる大学教官という立場をあらためて有り難いと感じた。

 今回学生たちが推薦したサイトの幾つかは、近々お勧めサイトとして紹介する予定である。本誌の読者の方々も、先生方に見て欲しいサイトを私までメール(fukami@ongakukyouiku.com)でお知らせいただきたい(自薦・他薦は問わず)。

 〈掲示板〉については、複数の話題を話し合うことができるスレッド掲示板を作成するはずだったが、現場の先生方のニーズがつかめず、結局、音楽教育学会や例会、研究会などの情報を書き込む「告知板」にすることにした。ここにも、楽器メーカーが主催する学校教員向けのイベントの情報を書き込んでいただけたらと思う。

 また、開設当初、私はオフィシャルな色合いの強いサイトを目指していたが、建前だけではなかなかモチベーションがあがらないことに気づき、本連載のテキストを〈コラム〉にアップロードすることにした(昨年十月号〜)。個人サイトはやはり自己表現の場なのだろうか。無精な私にも少しやる気が出てきた。そして、さらなるやる気を出すために、この春、私の音楽教室であるミュージック・ラボのコーナーを作る予定である。大学のサーバを借りているわけではないので、教員のためのポータルサイトという意味合いからちょっぴり外れる部分があってもいいかなと思ったのである。

 最後に富山の新しい風を報告!! 先日行われた学部長選挙で、日本の情報教育の第一人者である山西潤一さんが新学部長に選ばれた。教育学部は潰せという逆風の中、行動派リーダーの登場で富山大学の教育学部もやる気が出てくるかな、と大いに期待している。何事もやる気次第―。

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