グッドデザイン賞 島崎義治 明治学院大学13号館
2013年3月2日
多くの人がグッドデザイン賞って凄い賞だと思っている。
昨年10月、東京音楽大学100周年記念本館(久米設計)で日本音楽教育学会が開かれた時も、「グッドデザイン賞をとった建物らしいですよ」とAさんが言っていたし、デザインの斬新さゆえに不便なスロープを歩き、やっとエレベータにたどり着いた時、「この建物はグッドデザイン賞とかなんですかねぇ」とSさんがコメントしていた。
しかし、実際のグッドデザイン賞は、3132件の応募のうち、受賞件数1108件 (2012年)。約3件に1件がもらえる賞である。しかも、第一審査料10,000円、第二審査料60,000円、受賞発表展基本出展料120,000円、年鑑掲載料30,000円がかかる。それだけでは商品にGマークを使用することができず、Gマークを使用するにはさらに最低でも200,000円かかる。
http://archive.g-mark.org/gda2012/entryinfo/2012/oubo_4.html
そのため、ネット上では、
モンドセレクション程度だ、
集金したお金が天下り団体に流れている、
グッドデザイン賞はお金で買える、
といった感想や批判が見られる。
詳しくは、「グッドデザイン賞 実態」で検索してください。
でも、3倍だからといって即お金で買えるとはならないだろう。有象無象が集まる場合もあれば、精鋭が集る場合もある。精鋭が集まった3倍は厳しい闘いだ。費用が高いといっても、企業にとっては全く大したことはない、“はした金”である。
問題なのは、応募者が次々にお金を納めなければならず、3件に1件が受賞するのに、「賞」なのだろうかという点。普通なら、ファイナルに近づくにつれて費用はかからなくなるはず。
もう一つの問題は、多くの人が副賞・100万円ぐらいはもらえる賞であると思い込んでいるという点である。
イメージと実態とのギャップ。
たとえば音大などもそうだろう。
数年前、関西圏にある私立音大の声楽科の受験が話題になったとき、「とにかく歌を歌えば受かる」と友人が言っていた。比較的名の知れた大学なので、その時はにわかに信じられなかったが、最近では、東京の主要私立音大にもすでに「全入」あるいは「ほぼ全入」の専攻があると聞く。
一般の人たちは、こんな事態になっていること、知らないだろうなぁ。
受賞者(受賞団体)が「グッドデザイン賞を受賞しました! 」とオフィシャルページやブログなどに書き込む時、間違っても、「これだけお金がかかりました」とか「3件に1件が受かるんですよ」と書かないだろう。
「良いところだけを見せる」×1000の威力。
しかし、見方を変えれば、×1000だから、あちこちで「グッドデザイン賞を受賞しました! 」が起こっていて、“やけに多そうだ・・”と感づくはずなのだが・・。
東京音楽大学100周年記念本館は他にも幾つか賞をとっているのに、なんか勿体無いような気がする。
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無印良品も愛想? 企業にとって魅力なきグッドデザイン賞によると、今年度、無印良品から7件の応募があり、そのうちの1件『トイレットペーパー型消臭器』が第一次審査で落ちたのに、その商品が国際的なデザインコンクール「iFプロダクトデザイン賞」を受賞したという。