2014年8月22日
随分前のAERAに、スタイリストの大草直子さんの記事が出ていた。
今、こういったはっきりした物言いがしにくい雰囲気があるので、読んですっきりした。
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相手は有名大学出の有名企業勤務で、「スペックは望み通り」。しかし、結婚後に湧き上がってきたのは、「こんな小さなところに閉じ込められていいのか」という苛立ちだった。
大草がフリーランスになったころ、仕事現場では、「“ファッショナブル”と子育ては両立しない雰囲気」がまだ主流だった。それ以前に、仕事にプライベートを持ち込むことは、プロとしての意識が許さず、妊娠も出産も当初は周囲にできるだけ知らせずに仕事をしていた。
ところが、しばらくすると、今度は「仕事も子どもも」が“ファッション”になった。仕事先の雑誌で自分が「ママスタイリスト」と紹介されたことに愕然とし、「ママを取ってもらっていいですか」と交渉したが、一方で、その編集部に子どもを連れてきて、トロフィーのように見せびらかす同業もいた。
「子どもを理由に仕事に穴をあけることは、私にとっての絶対のタブー。風邪をひかせてなるものか、と鬼のように緊張していたけれど、『子どもが熱を出したので、仕事には行けませーん』と言ってくる人もいて、心の中で『バッキャローッ』と叫んでいましたね」
「稼ぎのいい旦那を持って、自分もそこそこの仕事をしていて、子どももかわいくて、料理もうまくて、きれいな女、というのが持ち上げられる。それって一見すると女性の理想に思えるけど、実は、男性社会にとって都合のいい理想に過ぎないんじゃないか」
他人から「大草さん、ラッキーで恵まれているよね」と言われると、「いやいや、あなた、何言っているの」と、思わず髪が逆立つ。「女が家族を養うって、どんなに大変なことか。私は頭にハゲを作りながら、人の10倍努力して、10倍働いてきたんだよ。」