10月14日
数日前、東京藝術大学名誉教授の服部幸三先生が85歳で亡くなられました。多くの音楽学者が指標を失ったと感じていることでしょう。ひとつの時代の幕が下りました。
25歳で藝大楽理科に入り直した私は、28歳の頃、卒論を書いていました。研究テーマもいい加減で、一向にやる気を見せない私を“結婚向き”だと思われたのか、ある日研究室に行くと、服部先生はお見合い写真を私に見せて、「僕の友人の息子さんです。写真を見て気に入ったら、会ってみたら?」とおっしゃいました。
・・残念ながら、好みのタイプではありませんでした。
次の週に研究室を訪ね、「すみません、どうも、イマイチ・・」と恐る恐る写真を返したところ、ニッコリと笑って、「神の思し召しです」と言われたんですが、結局意味がよくわからないままでした。
私のことを“結婚に向いている”と思われたのが「誤り」だったことは、その後の歳月が証明していると思います(笑)。
あの服部先生の深い洞察力をもってしても見抜けなかったんですね。私は自他ともに認める“ワーカホリック(仕事中毒)に変貌してしまいました。
どうか天国で安らかにお過ごしください。